売上 前年比110%を2年連続!公式LINEの立ち上げから運用まで

某食品EC 様

業界 飲食・食品
支援内容 SNS・LINE・CRM計測・分析基盤広告運用

使用ツール・環境

  • Shopify
  • GA4
  • Google広告
  • Yahoo!広告
  • Microsoft広告
  • LINE広告
  • LINE公式アカウント
  • CRM PLUS on LINE

どんな会社の、どんな売り方だったのか

食品を扱うEC事業者で、当時はモールECを主な販売チャネルにしていました。リピート購入で成り立つ商材を扱っており、一度買ってくださったお客様にもう一度買っていただけるかどうかが、そのまま売上を左右する事業構造になっています。モールに出店していたため集客そのものには困っておらず、商品を並べておけば一定の流通が生まれる状態でした。

なぜ、モールECのままではいけなかったのか

販売手数料の負担が重く、売上が伸びるほど利益が削られていく構造だったためです。モールでは価格も送料も販促の打ち方もプラットフォーム側のルールに沿う必要があり、利益率を自社で動かせる余地がほとんどありません。そのため、利益率を自社でコントロールできる状態をつくることを目的として、Shopifyでの自社ECを立ち上げることになりました。

ただし自社ECは、モールと違って出しておけば人が来る場所ではありません。公開した時点で、集客とリピートの両方を自前で組み立てる必要が生まれています。当時、購入後のお客様との接点はメールマガジンだけで、配信も1〜2ヶ月に一度、キャンペーンがあるときにまとめて送る程度でした。定期的に接点を持つ仕組みも、それを回し続ける運用体制もない状態からのスタートです。

なぜ、公式LINEだったのか

使える広告手段が限られていたため、すでに買ってくださったお客様との接点を太くするほうが確実だと判断したためです。この案件にはブランド方針上の制約があり、使える広告媒体に制限があったうえ、バナーを主体とした広告も原則として出せませんでした。割引や特典を前面に出す販促色の強い訴求も、社内で通らないことが多い状況です。そのため新規獲得はリスティング広告に絞り、購入意欲がすでに顕在化している検索層だけを取りにいく形にしています。

新規で取れる母数に上限がある以上、伸びしろは既存のお客様側に残っています。ただし当時のメールマガジンは配信頻度も低く、接点として機能していませんでした。そこで、開封率が高く、こちらから接点を持ちにいけるチャネルとして公式LINEを立ち上げ、リピート購入を生み出す受け皿にすることにしています。

誰が、何をやっていたのか

施策の全体像。分析で得られた示唆を、友だち獲得と配信の設計に戻す形で運用しました。

役割の分担は次のとおりです。新商品やキャンペーンの情報はクライアント側にしかないため、そこは毎回ヒアリングしたうえで、どう届けるかの構成はこちらで組み立てています。

工程

クライアント

弊社

新商品・キャンペーン情報の提供

担当

ヒアリング

配信の企画・構成

担当

キャンペーンの立案

一部

担当

文面・バナーの制作

担当

文面・バナーの承認

担当

配信作業・自動配信の設定

担当

効果分析・改善

担当

企画から配信まではこちらで担当し、クライアント側の作業は文面とバナーの承認が中心です。最初に用意したのは、ShopifyとLINE公式アカウントの連携でした。誰がいつ何を買ったかというデータを起点に配信できる状態をつくっています。ここが繋がっていないと全員に同じ内容を送ることしかできませんが、購入履歴と紐づけば、状況に応じた出し分けができるようになります。

友だちはゼロからのスタートだったため、集める導線を複数用意しました。購入完了ページに登録導線を置き、購入直後という最も関心が高いタイミングで登録を促しています。あわせて友だち追加で割引が受けられるキャンペーンを設計し、LINE広告からの友だち追加も並行して回しました。

配信は曜日を固定して毎週送る形で運用し、内容はキャンペーン、新商品の案内、購入ランキング、クーポンなどを組み合わせています。キャンペーン自体をこちらから企画することも多く、友だち追加キャンペーンはその一例です。

こちらが動かなくても回る部分も増やしており、登録直後にはステップ配信でおすすめの商品をレコメンドし、カートに商品を残したままのお客様にはリマインドを送っています。メールマガジンについては内容案の作成と配信後の効果分析を担当し、LINEとほぼ同じ内容を扱うため1本の企画を2つのチャネルに展開する形にして、運用の負荷を上げずにチャネルを増やしました。

配信の効果は、開封率やクリック率だけでは判断していません。GA4で流入と行動を確認し、Shopifyの売上データからLTVを分析したうえで、特にF2・F3転換率を継続的に追っています。初回購入から2回目、3回目にどれだけ進んでいるかが見えると、新規を増やすべきか既存に効かせるべきかの判断がつくためです。集計に手間がかかり数字も読みにくいため後回しにされやすい指標ですが、リピートで成り立つECではここが最も効きます。

リッチメニューについても継続的に改善しています。配信内のリンクをタップする方とは別に、リッチメニューから入ってくる層が一定数いることが数字から分かったためです。ただし載せる導線は絞っており、項目を増やすほど網羅的にはなる一方で、選択肢が増えた分だけ迷わせることになると考えています。

何が大変だったのか

企画がそのまま通らず、作り直しの往復が発生し続けたことです。この案件ではブランド方針を担う側の判断が強く、販促色の強い訴求は通らないことが多くありました。友だちを増やすには特典を打ち出すのが最も早い一方で、その打ち出し方が承認されないという状態が続いています。そのため、訴求の強さを落としながら反応を落とさない形を探す作業に、企画そのものと同じくらいの時間がかかりました。

進め方としては、通らなかった理由を毎回持ち帰り、次の企画の前提条件として積み上げていく形をとっています。何が通らないかが分かってくると最初から通る形で設計できるようになり、往復の回数は次第に減っていきました。ただし立ち上がりの数ヶ月については、この往復が最も時間を使った部分です。

結果、どうなったのか

EC売上は2年連続で前年を上回り、過去最高を更新しています。巣ごもり需要でEC全体が押し上げられた特需期の売上も上回っており、外部環境に助けられた一時的な数字ではありません。公式LINEは友だち0人から始めて、最終的にEC売上全体の20〜30%がLINE経由という状態まで育ち、配信の開封率も60%前後で推移しました。

指標

結果

EC売上(初年度)

前年比 110%超

EC売上(翌年度)

前年比 115%超

売上水準

特需期を上回り、過去最高を更新

LINE経由の売上比率

EC売上全体の 20〜30%

配信の開封率

60%前後

友だち数

0人からスタート

あわせて実施したアンケートの回答をもとに企画した商品セットは、最も売れる商品セットになりました。売り手が売りたいものを組むのではなく、買っている方が欲しいと答えたものを組んだ形です。特典を用意しなくても回答が集まったことからも、配信がお客様に受け入れられていたことがうかがえます。

売上は、自社ECの立ち上げ・広告運用・公式LINE運用など複数施策によるものです。公式LINEはリピーター育成の中核として運用しました。

同じことをやるには、何が必要か

EC側の購入データと繋げる環境と、週次で承認を返せる体制の2つです。購入データと繋がっていない公式LINEは、全員に同じ内容を送るメールマガジンと変わりません。この事例でも最初にやったのはShopifyとの連携であり、ECの基盤が何であるかよりも、購入履歴を配信の判断に使える状態になっているかどうかのほうが重要になります。

もうひとつが承認の速度で、この事例ではクライアント側の作業を文面とバナーの承認に絞りましたが、週次配信は承認が止まればそのまま配信も止まります。逆に言えば、承認さえ返していただければ、企画から配信までは外部で回すことができます。運用体制がないところから公式LINEを立ち上げる場合は、社内に運用担当を置けるかどうかよりも、決裁の速度を確保できるかどうかを先に確認したほうが確実です。

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